いよいよ9月21日(金)から全国ロードショーとなる、棚橋弘至選手の主演映画『パパはわるものチャンピオン』。この公開を前に、“ゴキブリマスク”こと大村孝志を演じた棚橋弘至選手。奥さんの大村詩織を演じた木村佳乃さん、息子の大村祥太を演じた寺田心くんという主要キャスト3人に座談会形式でインタビュー!
和気あいあいの大村ファミリーによる今回の映画の見どころはもちろん、木村さんと心くんが新日本プロレスの会場に来たときのエピソードも披露!!
■棚橋「心くんはレインメーカーをよけるのが得意なんです(笑)」
――棚橋選手は全国上映の映画初主演となりますが、撮影を振り返っていかがですか?
棚橋 最初にリハーサルをやったときに、監督にセリフの言い回しがマイクアピールっぽいというご指摘を受けて。
木村 マイクアピール(笑)。
棚橋 リング上のクセですよね(苦笑)。でも、監督のご配慮もあったと思うんですけど、普段のコミュニケーションを通して自然な会話ができるようにと、心くんとは撮影の合間に遊んだりして、一緒の時間を多く過ごすことができて。
――なるほど。
棚橋 今回の撮影を通じて身につけたものっていうのは、リング上のマイクやバックステージでのコメントに大いにいきたと思います。滑舌も磨かれましたし(笑)。
――木村さんからご覧になって、棚橋選手の演技はいかがでしたか?
木村 この役は棚橋さんにしかできなかったと思います。最初は緊張されていたみたいですけど。
棚橋 ド緊張してました(苦笑)。
木村 でも、初めてだと混乱すると思います。好き勝手演じていいわけではないですし、撮影は照明に当たる位置やマイクで声を拾う位置とか、決まりごとも多いので。慣れないと緊張しますよね。
棚橋 緊張してたんですけど、木村さんがうまくほぐしてくださって。引っ張ってもらいました。
木村 いやいや。
――おふたりは同級生なんだそうですね。
木村 そうなんですよ。でも、棚橋さんはまだ41歳なんです。私は42歳になっちゃったので。
棚橋 先輩(笑)。
木村 はい(笑)。
――心くんから見て、棚橋選手はどんな人ですか?
心 凄く優しかったです、たくさん遊んでくれて。(棚橋を見て)筋肉ルーレット?
棚橋 ああ(笑)。左右の大胸筋を交互に動かして、どっちで止まるかっていう。
――芸人のなかやまきんに君のネタですよね(笑)。
心 コッチの予想が全然当たらないんです(笑)。
棚橋 まあ、僕のサジ加減一つなんですけどね(笑)。
心 でも、“タナパパ”は本当に優しいし、やっぱり応援したくなります。
木村 ココちゃん、ずっと一緒にいたもんね。 休憩時間もタナパパのヒザの上に座ったり、二人で遊んだりしてましたよ。
棚橋 心くんはレインメーカーをよけるのが得意なんです(笑)。
――プロレスごっこもしてたんですね(笑)。
心 レインメーカーをよけて、タナパパのお尻にパンチ!(笑)。
木村 本当の親子みたいに仲よかったよね。
■木村「周りのプロレス好きの友だちに『棚橋さんと夫婦役で共演したよ』って自慢してます(笑)」
――今回の映画のお話が来たときの率直な感想は?
木村 凄く楽しみでした。すばらしい脚本だと思いましたし、いろんな世代にいろんなメッセージが送れる作品だなって。大人が読んでアッと思わせるところもあれば、子どもが共感できる部分もあって。映画を観たかたによると、けっこう男の人が泣くみたいですね、お父さんへの応援歌じゃないですけど。最初に棚橋さんが主演と伺って、「これは絶対におもしろくなるだろうな」って思いました。
棚橋 僕はこの原作の絵本を以前から知っていて、そもそも作品の中に出ている「ドラゴンジョージ」のモデルが棚橋弘至だったんですよね。
――劇中ではオカダ選手が演じている若きエースレスラーですね。
棚橋 でも、原作の発売から7~8年経ち、実際の僕の現状とゴキブリマスクを被っている大村孝志の現状が凄くリンクしていて。エースが段々追い詰められ、さらにケガで悩まされて一線を退いていくというところで「いまの俺はドラゴンジョージじゃなく、大村孝志だな」というふうに、自分の中でスッと入ってきました。
――役に自分自身を投影できた、と。
棚橋 脚本もプロレスに対して敬意をはらって書いてくれているなと思いましたね。普段の日常の延長線上にプロレスを持ってきてくれて。あと大村孝志をはじめ、それを支えている奥さんや祥太、みんなが救われるような話だと思います。
心 僕も祥太役ができて凄くうれしかったです。脚本を読んで「いいお話だな」と思いましたし、それまで僕がやったことのないような役柄だったんで。ただ、プロレスのことはボクシングとゴッチャになっちゃってて、よくは知らなかったんです。この映画のお話をいただいてから初めてプロレスのDVDを観たんですけど、真壁(刀義)さんとか怖そうなレスラーの方がたくさん出てきて、血だらけになる試合だったんです(苦笑)。
棚橋 最初に見せるヤツじゃないよね(笑)。
心 でも、たくさんのレスラーの方と共演してみて、イメージが変わりました。みなさん、優しかったです!
木村 そうだね。私は、周りのプロレス好きの友だちに「棚橋さんと夫婦役で共演したよ」って自慢してます(笑)。熱狂的なファンの人が何人かいて、「ええ、あの棚橋弘至!?」ってみんな驚いていて。
棚橋 それは逆に恐縮というか、僕も「木村佳乃さんと共演した」って自慢の種なんで(笑)。
木村 あとは真壁さんも優しかったですね。リング上は雰囲気が怖いけど(笑)。それと“ギンバエ”役の田口(隆祐)さんのお芝居がうまくて。
――プロの目から見ても演技が光っていた、と(笑)。
木村 あの方は哀愁がちょっと漂ってますよね。
棚橋 ギンバエは“いぶし銀”なんで(笑)。
木村 打ち上げのときに田口さんと少しお話する機会があって「演技経験がおありになるんですか?」って聞いたら、「いえいえ……」とおっしゃられて。普段は物静かで礼儀正しいというか。でも、挨拶のスピーチになると、凄くおもしろいこというんですよね(笑)。
棚橋 そういう男なんですよ(笑)。
木村 ちょっと、こういうお仕事に向いてらっしゃると思いました。棚橋さんとのシーンも息がピッタリでしたし。
棚橋 互いに「ゴキブリ」とか「ギンバエ」って呼び合うのも冷静に考えると不思議なシーンなんですけどね(苦笑)。
心 ゴキブリとハエだもんね(笑)。
■心「(新日本の会場に行った時に)ずっと『タナパパ、がんばれ~!』って応援してました」
――棚橋選手が撮影でたいへんだったのは?
棚橋 全部です(苦笑)。プロレスラーは喜怒哀楽をストレートに表現することが多いのに比べて、木村さんや心くんとのシーンは“日常”なんですよね。その中でどう自然な演技をするのか、日常的な会話をするのかっていうのは凄く難しかったです。
木村 家族団らんのシーンがちょくちょくありましたからね。
――以前、出演された時代劇とも違いましたか?
棚橋 そうですね。演じたのも悪役で作り込むかたちだったので。
――木村さんはもともと、プロレスや格闘技にはどんな印象を?
木村 大好きです! 私はクラッシュギャルズとマイク・タイソンが全盛期の世代なので。
――自分がなろうとは思わなかったですか?(笑)。
木村 無理だったでしょうねえ、背も意外と高いんですけど(笑)。
棚橋 なってたら大スターになってましたよ(笑)。
木村 いやいや(笑)。でも、観るのはとにかく大好きでしたね。
――実際、映画が決まってから新日本プロレスの会場に行かれたとか?
木村 はい、凄く楽しかったです! お客さんもたくさん入っていて、みなさん熱狂していて。
棚橋 場外乱闘が木村さんの近くまで来て、そっちの方へわざわざ行こうとしたらしいですよ(苦笑)。「木村佳乃が行っちゃダメ!」って(笑)。
木村 アドレナリンですよね、会場に入った瞬間から高揚しているというか。で、乱闘に近づこうとしたら(同行者に)抑えられて(笑)。もちろん、棚橋さんの試合も見ましたけど、とてもかっこよかったです。
棚橋 ありがとうございます(ニッコリ)。
木村 やっぱりカリスマ性が違いますよ。
棚橋 プロレス界でもこんなに褒められたことないです(笑)。しかも、そのときに棚橋Tシャツまで着ていただいて。
木村 並んで買ったんですけど、そうしたら鈴木みのるさんがサイン会をしていて。ちょっと並ぼうかと思ったんですけど、目が合あって凄く怖かったのと、棚橋さんファンなのに
並んだら怒られると思って。(棚橋に)みのるさん、怖いですよね?
棚橋 たしかに目力が凄いですよね。心くんも去年の『G1』の愛知県体育館の大会に来てくれたんですよ。心くんの地元が愛知だから。
心 凄かったです! プロレスはもともと知らなかったんですけど、観て好きになりました。しかも棚橋さんがメインで全部倒しちゃって「凄い!」って。一瞬負けちゃうのかなって思ったんですけど、どんどん……。
棚橋 逆転してね。
心 ずっと「タナパパ、がんばれ~!」って応援してました。
棚橋 ばれる、ばれる(笑)。
心 お母さんにも「パパはダメ、名前で呼びなさい」って言われたんですけど。でも、それだとコッチ向いてくれないかなって思って。次の日、叫びすぎてノドが枯れちゃいました(苦笑)。
木村 プロレスを観ると、スカッとして帰れますよね。ストレス解消にもなるし、イヤなこととかも忘れられて。根源的な部分で人が戦っている姿を観ると「ウワッ!」ってなるというか。
棚橋 プロレスは動物学的に必要なものなのかも知れないですね(笑)。
――では、最後に今作を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
木村 プロレスを知っているかたはもちろん、知らないかたにも楽しんでいただけると思います。どの世代のかたにも共感していただけるかなと。
棚橋 観る人を選ばない作品ですよね。
――あえてプロレスファンにここを観てほしいという部分は?
木村 そこはまず“スイートゴリラ”じゃないですか?(笑)。
――真壁選手が演じた“スイートゴリラ丸山”ですね(笑)。
棚橋 リングネームのインパクトにやられるっていう(笑)。あと、棚橋が現実のリングとは違い、映画の中ではヒール的な立ち位置にいるっていうのもおもしろいと思います。それと大村孝志と棚橋弘至がシンクロしている部分含め、ぜひ劇場で楽しんでください!
・テキスト/鈴木佑
・撮影/山本正二
・棚橋弘至スタイリスト/甲斐修平
・棚橋弘至ヘアメイク/山田みずき
・木村佳乃スタイリスト/中井綾子
・木村佳乃ヘアメイク/重見幸江
・寺田心スタイリスト/高橋由光
・寺田心ヘアメイク/河西幸司(アッパークラフト)