■「パフォーマンスは良かったけど、なんで優勝ができないかなあ」って
——ケニーさん、まずは会見が終わっての感想はいかがですか?
ケニー そうですね。試合より、難しかったですね(苦笑)。マスコミの前で日本語がうまくでなかったです。
——ケニー選手は外国人選手のなかでも、日本語が突出して上手に感じますが、今日は出なかった?
ケニー そうですね。こういうプレッシャーがあるときは、やっぱり英語の言葉しか考えられないから。私の(発言の)ターンになったとき、「日本語でなんて言えばいいですかね?」って(苦笑)。頭の中は、英語で整理されていて、全部が完璧だったんですけど。
——さすがのケニー選手も緊張されていたと。今回の発表は、DDTのファンも、新日本のファンも、驚いているファンは多いと思います。
ケニー そうですよね。いると思いますね。
——いつごろから、新日本をメインにして、闘いたいと思いましたか?
ケニー それはたぶん、今年の『BEST OF THE SUPER Jr.』の後ですね。ワタシの試合を思い出したとき、「パフォーマンスは良かったけど、なんで優勝が出来ないかなあ」って。ワタシの実力なら、優勝してもいいハズですよね?
——ケニーさんには、その自信があると。
ケニー それはワタシの気持ち。いまの新日本は、ワタシに一番似合う団体だと思います。それなのに、今年の『BEST』の試合は全部いい感じだったのに、優勝できませんでした。「それはなんでかな?」って。全部終わってから、「やっぱりもっと試合したい」気持ちになって。
——「もっと出来るのに!」という感じ?
ケニー そうです。もっと出来るのに、シリーズが終わったら。「もう来年を待つしかない」。でも「もう待てない。いますぐ出たい!」と。
■いまの新日本は「キング・オブ・スポーツ」だけじゃなく、「キング・オブ・プロレスリング」
ケニー それからDDTで試合をし続けて、ずっとイブシさんとタッグでしたね。イブシさんは、ワタシとDDTでタッグのベルトを持ちながら、新日本の試合に同時に出ることができた。彼は新日本でも自分の夢を叶えている。でも、ワタシは出られない……。
——出たい気持ちが大きくなったと。もともと新日本というのはケニー選手にとってどんな存在ですか?
ケニー あの〜、新日本のことを考えたら、いつも「キング・オブ・スポーツ」というキャッチを思い出します。DDTは「やりたい放題」みたいな団体ですけど。新日本の昔は、凄くシリアスなスタイルですよね。ただ、いまの新日本は、ワタシが子供のときとは違う。
——スタイル的には、たしかに変わってきてますね。
ケニー ホントにいまの新日本って、ワタシが一番フィットするリングなんです。アメリカンスタイルのプロレスもあるし、格闘技スタイルやストロングスタイルもある。だからオールラウンドプレイヤーにとって、新日本は一番いい場所。
——AJスタイルズ選手もいれば、桜庭和志選手もいますからね。
ケニー だから、昔の新日本を思い出したら、(獣神サンダー・)ライガーさんが『SUPER J CUP』で勝ったときとか、『SUPER Jr.』も思い出しますし、ちょっと前に格闘技ファイターが一杯いた時も思い出します。だけど、いまの新日本は全然違う。いまの新日本は私の一番好きなスタイルをやってる場所なんです。だからね、新日本はずっと「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれてましたけど、いまは「キング・オブ・スポーツ」だけじゃなく、「キング・オブ・プロレスリング」になりました。
——なるほど。ケニー選手にとっては、新日本がキング・オブ・プロレスリングですか。
ケニー そうですね。それは思ってますよね。
——ただ、外国人選手にとって、WWEがゴールという選手も多いですよね。
ケニー ハイ。でも、ワタシは新日本の方を選びました。外国人選手のほとんどは普通は、WWEを目指す。それはみんなの夢。もう当たり前のように思われてますよね。みんな子供のときからずっとテレビで見れるのはWWEだけだから。ワタシもそうでした。でも、15歳から日本のプロレス好きになって、日本にいきたくなった。
——ケニー選手にとっては、日本が夢だった。
ケニー ワタシは日本でうまくいって、その上でWWEに行きたいわけじゃない。なぜなら、ホントに日本のプロレスが世界のベストだと思ってます。そして、同時にワタシは選手としても自分がトップだと思ってるんです。
——そのぐらい、プロレスラーとして自信があると。
ケニー そうですね。だから世界のプロレスファンみんなが、ワタシの試合を見て、結果的に「新日本のプロレスが一番だ」と思ったら、ワタシはすっごくうれしい! なんというか……新日本の武器? になりたいんです。
——「新日本の代名詞」というか、「新日本の顔になりたい」という感じですかね?
ケニー そうですね。ワタシの試合を見て「これが新日本プロレスだ!」みたいな。しかも「ワタシのスタイルが見れるのは新日本だけ」となればうれしい。
——「ケニー選手がいるから、新日本プロレスはおもしろい」と言われるようにしたいと。
ケニー そうです。なので、ワタシはまずジュニアでがんばりたい。いまの新日本のジュニアには強い選手はいるけど、たとえばタナハシみたいなエキサイティングなキャラクターが新日本ジュニアにはいないと思いますから。それもワタシの目標です。新日本のジュニアで、タナハシやナカムラみたいなイメージになりたいです。
■ワタシが新日本に来て、『ゴールデン☆ラヴァーズ』組んだら、いきなりすぎるかもしれない
——会見では、飯伏幸太選手との共闘、タッグ結成は当分ない、という発言もありました。
ケニー ハイ。みんなが『ゴールデン☆ラヴァーズ』を思い出したら、「もう一度、新日本で組めばいい」と思うかもしれない。でも、新日本で一番最近組んだのは何年も前ですよね?
——ハイ。2010年にはベストバウト(vsプリンス・デヴィット&田口隆祐)も獲りましたよね。
ケニー そのときは、IWGPジュニアタッグでした。でも、いまワタシはジュニアでがんばりたいし、イブシさんはヘビーになったばかり。いまはイブシさんはジュニアでやらないほうがいいし、ワタシもヘビーでやらないほうがいい。なんか場所が違いますよね。
——いまはそのタイミングではないと。
ケニー だから組みたくないわけじゃないです。組みたいよ、もちろん。ワタシもイブシさんと組みたい。『ゴールデン☆ラヴァーズ』で試合をしたいけど、それはもっともっとあとの……。
——「お楽しみは、またあとで」というか。
ケニー ハイ(ニッコリ)。DDTのファンはすぐにでも『ゴールデン☆ラヴァーズ』の試合を見たいかもしれない。だけど、新日本のファンには『ゴールデン☆ラヴァーズ』を見たことがない人がいるかもしれない。だからワタシが新日本に来て、『ゴールデン☆ラヴァーズ』を組んだら、いきなりすぎるかもしれない。
——まずは新日本プロレスのケニー・オメガというモノを作りたい?
ケニー そうです、そうです。自分をシッカリと紹介して、自分の力をちゃんと見せたい。
■いまのタグチさんは新しいやる気が凄く出てる。新しいオーラがあります。
——いまの新日本ジュニアの中で気になる選手は?
ケニー うーん。ワタシはもう時間をムダにしたくないから、やっぱりチャンピオンを狙ってます。っていうことは、タグチさんですよね。ただし、ワタシはいきなり挑戦したいけど、まだ試合も何も決まっていない。もしも1人1人、ジュニアの選手を倒さないといけないなら、1人ずつクリアしていきます。
——いまの新日本ジュニア全体はどのように思いますか?
ケニー 初めて『SUPER Jr.』に出たときは2010年だったと思います。みんなその時から、変わりました。たとえば、2010年のKUSHIDAさんといまのKUSHIDAさんは全然違いますね。身体が違いますし、技も違います。KUSHIDAさんはドンドン強くなった。
——スタイルも変わってきてますね。
ケニー タグチさんも、たぶん2010年のタグチさんは力が足りなくてベルトは獲れなかった。でも、いまはチャンピオン。タグチさんは技も増やした。新しいどどん(どどん・ジ・エンド)も、アンクルホールドもある。ワタシは、KUSHIDAさんもタグチさんを倒している。けど、もう一回倒す。それを楽しみにしてます。
——10.13両国大会で田口選手とデスペラード選手がタイトルマッチを行います。
ケニー ですよね。ただ、いまのタグチさんは新しいやる気が凄く出てる。新しいオーラがあります。ホントにチャンピオンのオーラが出てる。だからタグチさんはベルトを渡したくないでしょう。それにデスペラードはビッグマッチ経験がまだあんまりないから。
——田口選手のほうが優勢ですかね。ケニー選手は、今年の『SUPER Jr.』でデスペラード選手とも試合しています。
ケニー ハイ。あの時期、2人ともイブシさんのパートナーだったから、闘う意味がありました。
——いまでは信じられないですが、飯伏&デスペラード組でジュニアタッグに挑戦してますからね。
ケニー だからパートナー同士の対決で、負けたのはすごい辛かった。ですけれど、凄くいい試合が出来た。試合が終わって握手も出来ました。だから、デスペラードは尊敬もしてるけど、もう1回シングルするときは絶対に倒したいです。リベンジしたい。
——よくわかりました。では、新日本での一員として、活躍を期待しています。
ケニー サンキュー! あとね。なんか新日本で試合しているとき、選手のジャージを見るとうらやましかったんですよ。
——新日本のジャージ! あの赤いジャージですか?
ケニー ハイ。私もジャージが着たかった。移動や練習で、みんながあれを着ていると、ワタシは凄くアウトサイドな感じがしました。新日本の選手やメンバーといくら仲が良くても、ワタシだけはアウトサイド。それはくやしかったね。
——まずは、あのジャージを着たいと。新日本のファン的には、ライオンマークのTシャツも着てほしいでしょうし。
ケニー ハイ。それも楽しみにしてます(ニッコリ)。
——最後に新日本プロレスのファンにメッセージをお願いします。
ケニー お〜、メッセージですか。ムズカシイね(笑)。……ワタシは、やっぱり新日本で100パーセント、がんばりたい。絶対に新日本ジュニアのディビジョンを面白くして、ワタシが新日本のトップクラスになりたいと思います。前のDDTのファンだけじゃなくて、新しい会ったことのない新日本のファンも応援してほしい。とりあえず、がんばります!
撮影/山本正二