第7試合のBブロック公式戦では、前年度『SUPER Jr.』覇者のKUSHIDAと『SUPER Jr.』初参戦のクリス・セイビンによる一騎打ち。それぞれアレックス・シェリーとタッグを組んでいた両雄が、注目の対決を迎えた。

 

　開始のゴング、両者はリストの取り合いを主軸に細かなチェーンレスリングを披露。場内は拍手に包まれる。続くロープワークでは、ショルダータックルで互角の攻防。そこから互いに合わせ鏡のように、技の読み合いを展開。そして一旦距離を取る。
　次はKUSHIDAがリストを固め、グラウンドで両腕を決めていく。そのまま倒立からブリッジ。そしてフォールの体勢に入るが、セイビンはカウント1で切り返す。セイビンはエルボーを見舞うが、KUSHIDAはキック。続いてハンドスプリングエルボーを狙うも、セイビンは追走して低空ドロップキック。
　これでKUSHIDAが場外に落ちると、セイビンはエプロンを走りながらKUSHIDAの胸板に強烈なサッカーボールキック。セイビンはKUSHIDAをリングに戻し、足を決めながらグラウンド卍固めへ。KUSHIDAはなんとかロープエスケープ。
　セイビンはKUSHIDAの両腕、両足をマットに打ち付け、機動力を奪いに出る。そしてブレーンバスターで放り投げてから、もう一度KUSHIDAの両腕をマットに叩きつけ、両ヒザを関節技で固めていく。そして流れるような動きでサーフボードストレッチ、両足での胴締めと、KUSHIDAのスタミナを削る。
　セイビンはKUSHIDAをコーナーに叩きつけると串刺しエルボー。二発目はKUSHIDAが読み、コーナーに向けてシェルショック。KUSHIDAは右ミドルを連発。だが、セイビンはその足を捕らえ、足にエルボー。続いてロープに飛ぶも、KUSHIDAはヒップトスから低空ドロップキック。
　続く串刺し攻撃はセイビンにかわされるも、KUSHIDAはスキをついてロープ上段から飛びつきウラカン・ラナ。フォールを返されると、KUSHIDAはアームブリーカー。ここから両者はエルボー合戦へ。さらにKUSHIDAはオーバーヘッドキック。続くマサヒロ・タナカをかわしたセイビンはトラースキック。そして、KUSHIDAの身体を巧みにコントロールし、ラ・マヒストラルへ。
　キックアウトしたKUSHIDAに対し、セイビンは低空ドロップキック。そこから技の読み合いになると、最後にKUSHIDAがアームロックで捕獲。セイビンは必死にロープへ。KUSHIDAはスタンドでセイビンの首を固めたまま、顔面にヒザ蹴りを連発。さらにセイビンの左腕に強烈なサッカーボールキック。
　KUSHIDAは前転で勢いをつけて飛びつくも、セイビンは両肩に担ぎ上げる。これを着地したKUSHIDAだが、セイビンはセカンドロープに飛び乗ってトルネードDDTを仕掛けようとする。しかし、切り抜けたKUSHIDAはセイビンをオートマティックミッドナイトのように抱え上げる。セイビンはこれをディフェンスし、今度こそトルネードDDTを炸裂。フォールはKUSHIDAがカウント2でキックアウト。
　セイビンはもう一度KUSHIDAを両肩に担ぐも、KUSHIDAは脱出。するとセイビンは延髄斬りを叩き込み、ロープに走る。これに対してKUSHIDAはハンドスプリングキック。セイビンが場外に落ちると、KUSHIDAはトップコーナーからのトペ・コンヒーロを狙う。
　だが、セイビンはすばやくリングに戻り、トップロープのKUSHIDAのバックを捕らえて雪崩式の投げっぱなしジャーマン。そしてクレイドルショックを決めるが、KUSHIDAはカウント2でキックアウト。ならばとセイビンはオール・ヘイル・セイビンを完璧に炸裂させ、KUSHIDAを撃破。セイビンが昨年度覇者から大きな白星をゲットした。

 

　試合後、セイビンは握手を求める。するとKUSHIDAも応え、両者は抱擁。セイビンはKUSHIDAの腕を上げて健闘をたたえた。

セイビン「まだまだこれからだ。今は頭も腕も痛い。そういった痛みも自分は超えていかなければいけないけれども、この一戦は自分にとっても言葉では表現できないぐらいの凄く大きいものだった。しっかりと長いリーグ戦を闘い抜くために水分を摂り、休んで、次の試合に備えたいと思う」

 

KUSHIDA「勝てないっすねぇ、開幕戦！　勝てない、とにかく勝てない！　1敗、大きな1敗。けど、俺が優勝した時も、1敗じゃ済んでないから。まだ、巻き返せますね。公式戦の枠じゃ語り尽くせないものが、僕とセイビンにはあって、そういうものを考えてたらね、でもこれは『BEST OF THE SUPER Jr』なんで、もっと……当然、すくわれるのを警戒して戦ったんですけど。一つ、もしかしたら、優勝への道筋、夢は少し遠のいたかもしれない。けど、違う夢が近づいてきましたよ。8年前じゃ考えられない、この場所、このリングで、この『BEST OF THE SUPER Jr』で、クリス・セイビンと戦うことができるなんて。こうやってクリス・セイビンを語れるのも、この『BEST OF THE SUPER Jr』の中で、KUSHIDAだけでしょう。開幕戦、とにかく未知数過ぎて、苦手な半分、楽しかったっすけどね。そうも言ってられない」

──途中で、シェリーのフィニッシュ技を出そうとしませんでしたか？

KUSHIDA「はい。まぁ、そういうのはね、長くプロレスをやっていると、そういうところもくすぐりたくなるっていうか。まぁ、僕も新日本ジュニアで、最前線で戦ってきて、僕が入る前、モーターシティ・マシンガンズとApollo55で、新日本ジュニアが変わったというレスラー、関係者がいる中で、それぐらい強い刺激をこのリングに与えた1人だと思いますんで。ただそれと、今の意地……ぶつかって負けましたけど、二連覇を俺は、絶対諦めないっす。絶対諦めない！」