昨年10月1日に亡くなった“新日本プロレス創設者”アントニオ猪木さんのメモリアルマッチとして、真壁&小島&永田と藤波&鈴木&タイガーが対決。
6人はそれぞれ赤い“闘魂タオル”を携えて入場。その後、特別レフェリーのタイガー服部が紹介されると、場内が驚きと歓声に包まれる。
そんな中、藤波対永田で試合が始まり、永田がヘッドロックからショルダータックルへ繋ぐ。そして、ミドルキックを連射するも、藤波が脚をキャッチしてドラゴンスクリューを敢行。
永田対鈴木となり、いきなり激しい張り手合戦を展開。そこから鈴木がトーキックで不意打ちし、永田をダウンさせる。
これで永田は動きが止まってしまい、タイガーがミドルキック連打、ローリングソバット、ストンピング、サーフボードストレッチ、エルボースタンプなどで攻め立てる。
続いて再び永田対鈴木となり、永田がエクスプロイダーで逆転。タッチを受けた小島が、マシンガンチョップで鈴木に追い討ちをかける。
そこから小島は串刺しジャンピングエルボーへ繋ぎ、「いっちゃうぞバカヤロー!」の叫びを観客と大合唱する。ところが、すかさず鈴木が襲いかかり、流れを引き戻す。
さらに、鈴木が強烈なエルボーで小島をダウンさせ、鈴木と一緒にダブルミドルキックをお見舞い。そして、タイガーが鈴木のアシストからタイガードライバーを食らわせる。
しかし小島は、コジコジカッターでタイガーに逆襲し、ようやく赤コーナーへ帰還。ここから真壁対タイガーとなり、真壁が串刺しラリアットで先制。そして、コーナー2段目へのぼり、タイガーの頭部へパンチの雨を降らせる。
その後、タイガーが真壁をスローイングすると、藤波がドラゴンスクリューをお見舞い。そして、永田と小島にもドラゴンスクリューを食らわせる。
続いてタイガーが真壁に卍固めを極めると、藤波がドラゴンスリーパーで永田、鈴木がスリーパーホールドで小島を分断。
それでも真壁はカウンターラリアットで反撃に出るが、タイガーが回転十字固めで押さえ込む。そして、ローリングソバットからロープへ走るが、真壁がカウンターパワースラムで叩きつける。
さらに真壁は、ランニングラリアットでタイガーをなぎ倒してニュートラルコーナー最上段へのぼるが、鈴木が追いかけてヘッドバットをお見舞い。
これでコーナーから落ちた真壁にタイガーが飛びつくも、体勢が崩れてしまう。それでもタイガーは下から丸め込みを狙うが、真壁が上押し潰す形で押さえ込み、3カウントを奪取した。
アントニオ猪木追悼大会 WRESTLE KINGDOM 17 in 東京ドーム ~闘魂よ、永遠に~
- 日時
- 2023年1月4日(水) 14:45開場 17:00開始
- 会場
- 東京・東京ドーム
- 放送
- 観衆
- 26,085人
-
30分1本勝負
アントニオ猪木メモリアル6人タッグマッチ※16時20分開始予定レフェリー|タイガー服部
MATCH REPORT
COMMENT
──アントニオ猪木メモリアル6人タッグマッチというタイトルの試合で、そのメンバーとして闘った思いというか気持ちを聞かせてください。
真壁「だって、猪木さんに直接関わったのは、正直俺たち世代の人間じゃない? 下の世代はもういないからさ。大事なものを教わったと思うし。ただ、あれだな。今日の試合は俺がダメだったね。最後ゴチャゴチャしてた。最後はキッチリ固めたかったね。そこがまだ未熟っていうところだよね」
小島「明けましておめでとうございます。このような大会で、そして猪木さんの冠がついている試合に出られて本当にありがたいと思います。私は多分、今日のメンバーで一番猪木さんからは縁遠い人間だと思うんですね。ご挨拶はしたけども、他のメンバーに比べると縁が遠かった。にも関わらず、こうやってタオルを持って参加させてもらったのは本当に幸せだと思っています。今日は本当に忘れられない1日になりました。ありがとうございました」
永田「今年の東京ドームはアントニオ猪木追悼試合という形で参加させていただきました。今日の試合をもし会長が見られていたら私が代表して、『バカ野郎ーッ!』って言われたんじゃないかなと、そう思っています。猪木会長は選手全員に何か言いたい時は、いつも私を怒鳴り散らして説教することで、選手全員に『闘いとは』、『闘魂とは』ということを教えてくれた存在でした。今日この試合をやってみて、また改めて天国の猪木会長からこのようなお叱りを受けたんじゃないかなと。また言ってほしいなという思いがあり、それが試合終わった後の感想です。今年も1年頑張っていきたいと思います。会長に常に見られているという思いを忘れることなく、これからも現役生活をやっていきたいと思います。ありがとうございました」
──今日から次の50年に向かうスタートになります。今年に懸けた一言をお願いします。
真壁「やっぱあれじゃない? 凄えプロレス見せるってことじゃない? アントニオ猪木の時代もアントニオ猪木の時代で凄えもんがあったよね。ただ猪木さんの真似したってさ、あの人は満足しねえじゃん。新しい世代、新しいプロレス、それを見せてったらあの人は文句言わねえだろう。言わねえし、言わせなきゃいいだろう。多分、俺たちはその気持ちで闘っているから、いつも。それだけだよ」
小島「私は昨年の4月からプロレスリング・ノアで試合をさせてもらっていますので、いろんな意味でイレギュラーな闘いになってますけども、本当に猪木さんの教えっていうかね、いつ何時っていう言葉を胸に、どのリングにいても小島聡を貫いていきたいと思います。ありがとうございました」
永田「51年目になりますけど、やはり新日本プロレスの看板を背負っている限りはいつ何時、猪木会長の目が光っているかを肝に銘じて、これからいろんな所で闘っていきたいと思います。本年もよろしくお願いします」
鈴木「俺の方から一言。あんまり思い出とか、実は持ってない。なんてたって、デビューして1年も経たないうちにここを辞めてっからな」
鈴木「それと忘れちゃなんねえことがもう一つ。アントニオ猪木は死んだんだ! もういねえんだ! いつまでもいつまでも猪木猪木猪木猪木うるせえよ!」
鈴木「でもな、大丈夫だ。俺がまだ生きてる。(テーブルをダンと叩いて立ち上がり)俺がまだプロレスラーとして生きてる。以上」
タイガー「新年明けましておめでとうございます。新年最初のドームでね、アントニオ猪木メモリアルマッチという冠がついた試合にまず出られたことが、自分にとっては何よりも嬉しいし、もの凄く光栄なことですね。今回鈴木さん…鈴木軍を離れて初めて組んで、あとは藤波さん。まあ僕は人は違えどタイガーマスクということで、昭和新日軍という形で組んだんですけど、やはりどうしてもジュニアヘビー級の損というかね、ヘビー級の人に向かっていく部分で体の当たり負けがあったりするんですけど。僕は多分、藤波さんはもちろんのこと、鈴木さんよりも猪木さんと接していただいたのは凄く少ないんですけども、2006年のイタリア巡業からもの凄く猪木さんに可愛がっていただいて、東京に戻ってもいつも電話がかかってきて呼ばれたりとかして、一緒に食事をさせていただいてて、非常に猪木さんには可愛がっていただいて。一つ猪木さんから言われたのは、もちろん勝負だから勝ち負けというのはあると。ただ、その中でどれだけ強さを、自分の強さというものを試合の中で見せられるか。自分が持っているものですよね。それは佐山さんにもよく言われたんですけど、自分がどれだけ試合に対して、相手に対して怒りを出せるか。そこが出せれば勝負よりも価値があるっていうことは言われたことがあります。だから僕は常に厳しいと、ファンの中では言われてることもあったんですけども、そういう試合を心がけていました。まあ、先程鈴木さんが言われたように猪木さんが亡くなってしまって。ただ、僕は亡くなってしまったけどもやはり猪木さんの闘魂は、この新日本プロレスにいる以上は全選手が背負わなければいけない運命だと思っています。どんな試合にせよ。だから今日の試合も真壁に獲られているんですけども、多分お客さんが『ああ?』っていう部分もあったと思うんですけど、あれがいつ何時何があるか分からないプロレスだと思いましたね。負けといて言うのもあれなんですけど。だから非常にこの試合に関しては僕は感慨深いし、出させていただいたことに関して、ありがたく感じます」
──今日のマスクもタイツのカラーも初代を意識されていると思うんですけど、そこはいかがですか?
タイガー「そうですね。こういう冠が付いてるし、やはりアントニオ猪木さんに少しでも、佐山さんが今は体の調子があまり良くないのでね、僕がこういう形でやってますっていう部分で。『だらしねえな!』って言われるかもしれないですけど、こういう部分で見せられて凄く。あとはドームなんでね、ファンにの方に喜んでいただければというのがあります。ありがとうございました」
──まずアントニオ猪木メモリアル6人タッグマッチを闘い終えて、今のお気持ちを聞かせてください。
藤波「やっぱりここしばらくアントニオ猪木さんの影っていうのか、どうしても我々の世代からすると忘れることができない。自分自身が特別なのかもしれませんけどね。まあ僕は思いっきり引きずっていこうかなっていう。これはまだ自分自身がアントニオ猪木を見足らない。まだまだ見ておきたかったっていうのが心残りであるんでね、やっぱりそういうのが。これはもう猪木さんにはなれない。また真似をしようと思っても真似はできない、あの闘魂というのはね。でも、少しでも猪木さんの言わんとするファイティングスピリッツに近づいていければなっていうのがね。今日もまだ、去年の8月以来、なんかまだ足が浮足立っているみたいなね、なんか地に足がつかないみたいな感じなんですけど、これは徐々にそれを克服するしかないんですけどね。とにかく自分は思いっきり背中に背負って、リングに上がり続けていきたいと思いますね」
──今日の試合で猪木さんに伝えたいメッセージはありましたか?
藤波「今日はね、世代がだんだん変わってきて、本当に猪木さんを知る選手ばっかりなんだけども、特にそういう中で皆それぞれ自分の動きをしているし、これがどっかで闘うシングルであったりとかシチュエーションは違うんでしょうけど、こういう感じなんでね。まあ特に僕が入ったから、ちょっと今までのチームワークとは違ったんで、ちょっと闘いづらかったかもしれないですけどね。でも、6人の中で誰が勝利を獲ってもおかしくないっていう相手ばっかりなんでね。そういう中で今回僕が入りましたけど、とにかく僕自身が久々に興奮しすぎたのかなっていう。まあ1.4の東京ドームっていうことがあるんでね。久々の新日本プロレスの1.4って、これは特別なんだよね。今日も会場入りする前にファンが押しかけている中で全国から来ているっていうか、懐かしいなっていうのもあって、自分自身からすれば慣れ親しんだ新日本のリングであるんだけども、やっぱりしばらく上がっていなかっただけにね、新鮮っていうのかやっぱり浮足立っちゃいますね(笑)。だけど凄くいい心地良さがありましたね」
──最後に「ダァーッ!」をやられましたけども。
藤波「これは本当にやって良かったのかな?(笑)。これやったらお客さんは帰っちゃうんだよ? 大丈夫? お客さん、まだいる? 大丈夫ですか? これから試合が始まるんだよね?」
──まだいます。
藤波「じゃあお客さんも分かってるから大丈夫でしょう(笑)。でもね、お客さんは待ってるんだよね。今日のアントニオ猪木さんのメモリアル大会っていうこともあるんでね。これは自分自身が許されてる雄叫びなんでね。自分自身にも気合いを入れる意味でね。まあお客さんも最後じゃないんで、中途半端な『ダァーッ!』をあげてましたけどね。でもこの後、誰かが締めてくれるでしょう(笑)」
──久々の声出しの「ダァーッ!」でした。
藤波「声出てましたね! これは良かったんじゃないですかね」
──新日本プロレスは引き続き51年目に入ります。
藤波「僕自身は50周年が終わりましたんで、新たな目標をまず掲げて、猪木さんに常に『バカ野郎ーッ!』って言われないように、肝に銘じてリングに上がりたいと思いますね。今年1年よろしくお願いします」
──猪木さんと最も長い時間を過ごしてきた藤波さんにとって、猪木さんの一番凄い部分はどういうところに感じていましたか?
藤波「やっぱりね、年間多い時は250~260試合やっててね、長い巡業の中でだらけることがあるんだけど、そういう時でもやっぱりその姿を見せちゃいかんというね。まあプライベートの時はいいんだけど、猪木さんは会場入りした時にお客さんの前で絶対にそれはダメだと。よく控室から猪木さんが竹刀を持ってね、試合中ですよ? もう若手の試合中に長い巡業の中でちょっとだらけてきた……これは別に怠けたわけじゃないんだけど、やっぱりだらけた試合なのかなと。それは猪木さんが見たら控室からガターンと音がして、凄い血相を変えて、竹刀を持ってリングに上がってくるんですよ。それで試合をしている二人をボコボコに殴るんですけど、お客さんは何だか分からないよね。でも、我々レスラーは猪木さんが何を言わんとしているか分かるんですよ。でも、それだけ猪木さんはリング上では命をもの凄い懸けているというのか、真剣にあれしてて、闘う部分の心構えを教えられたような気がしますね」