メイン(第8試合)では獣神サンダー・ライガーが武藤敬司(WRESTLE-1)、そして宮原健斗とトリオを結成し、SANADA&BUSHI&KAI(フリー)組と激突。
ライガーにとって武藤は言わずと知れた若手時代からの戦友。現・三冠ヘビー級王者の宮原は、今年2月の『ジャイアント馬場追善興行』で棚橋弘至とタッグを組んだのが記憶に新しい。
SANADA&BUSHI&KAI組は、元・全日本プロレスの同期トリオ。とくにSANADAとKAIは、全日本→WRESTLE-1と切磋琢磨したライバル同士でもある。
武藤組は宮原、ライガー、武藤の順にそれぞれのテーマ曲で入場。SANADA組はSANADAのテーマ曲でリングイン。
先発はSANADAと武藤。場内は「SANADA」コールを打ち消すように「武藤」コールに包まれる。両者はグラウンドですばやいポジション取りを展開し、一旦距離を取る。武藤はもう一度グラウンドに持ち込んでヘッドロック。続いて首4の字固めを決める。SANADAが切り抜けると、武藤は一旦場外にエスケープ。
武藤がリングに戻ると、SANADAはショルダータックルでダウンを奪う。だが、武藤はアームホイップからドライビングエルボー。しかし、かわしたSANADAはその場飛びムーンサルトプレス。すると武藤も負けじとこれをかわす。
次はライガーとBUSHIのマッチアップ。ライガーの串刺し攻撃を切り抜けたBUSHIは、ミサイルキックをヒット。
だが、ライガーはBUSHIを掌底で場外に落とす。そして、宮原が捕獲したBUSHIにスライディングキックを炸裂。勢いあまって宮原も吹っ飛んでしまう。続いてライガーはBUSHIにロメロスペシャル、そしてカベルナリアへ。
スイッチした宮原はBUSHIを場外に落とすとヘッドバット。さらに鉄柱を利用してBUSHIを痛めつける。
宮原はBUSHIをリングに戻すとトップロープに腹ばいに固定し、その背中にドロップキック。
次は武藤がBUSHIにドライビングエルボー。そしてSTFで捕獲。BUSHIはロープに逃げる。
スイッチしたライガーはBUSHIの後頭部にエルボーを落とす。だが、ロープに走ったところを、SANADAが足を引っ張って妨害。そして、SANADAはリングに入り低空ドロップキックをライガーに決める。
BUSHIとSANADAはすばやいスイッチワークでライガーの左腕をねじ上げていく。一人蚊帳の外のKAIは「オイ! オイ!」と困惑。
ようやくSANADAからスイッチを受けたKAIはライガーの腕をねじ上げる。そして、味方Aにスイッチを求めるも、SANADAとBUSHIはこれに応じず。
KAIはライガーにドロップキックをヒット。そしてロープに走ると、BUSHIがその足をつかみ、SANADAがKAIに強制的にスイッチ。
SANADAはライガーに一撃を加え、すばやくBUSHIにタッチ。BUSHIはライガーにTシャツでチョーク攻撃。劣勢のライガーだったが、BUSHIにカウンターのケブラドーラ・コンヒーロ。
スイッチした宮原は、SANADAに低空ドロップキックからドロップキックをヒット。そして筋肉ポーズを披露し、場内をあおる。
宮原はSANADAに串刺しエルボーからノーザンライトスープレックス。そしてランニングニーを繰り出すが、かわしたSANADAはリープフロッグ二連発からドロップキック。さらに場外に落ちた宮原にプランチャを敢行。
戦場がリングに戻ると、宮原はニーを決めるが、、SANADAもヒザで対抗。ここからエルボー合戦に突入し、両者は意地を真っ向からぶつけ合う。
競り勝ったSANADAはバックドロップを炸裂。スイッチしたKAIは宮原にカウンターのトラースキックを決め、ジャーマン、トラースキックとたたみかける。
勢いに乗るKAIはメテオインパクトを狙うも、宮原は脱出してフロントキック。
タッチした武藤はKAIに低空ドロップキック。そして、BUSHI、SANADA、KAIの順にドラゴンスクリューをお見舞い。
ここから武藤組がKAIにトレイン攻撃。ライガーの串刺し掌底。宮原の串刺しニー。武藤の串刺しニーとたたみかける。
そして、武藤はKAIにドラゴンスクリューを決め、シャイニングウィザードを放つが、KAIは腕でブロック。
ここからBUSHIとSANADAが武藤にトレイン攻撃。そして、BUSHIが延髄斬りで武藤の動きを止め、KAIがパワーボムを炸裂。しかし、カバーはライガーがカット。
KAIは武藤を捕獲し、そこ目掛けてSANADAがミサイルキックを発射。だが、これはKAIに誤爆してしまう。
SANADAは武藤にパラダイスロックを仕掛けるが、武藤がこらえる。するとKAIが武藤を捕獲し、BUSHIが毒霧を発射。しかし、なんとKAIに誤爆。
間髪入れず、ライガーがKAIに掌底。宮原もブラックアウトで続く。そして、武藤がシャイニングウィザードを決め、フォールに入るも、KAIはカウント2でキックアウト。
すると、武藤はKAIに低空ドロップキック。そしてドラゴンスクリューを決め、上空に投げキッスをすると、デストロイヤーに捧げるように足4の字固めへ。ライガーもBUSHI、宮原もSANADAを足4の字固めで捕獲。最後はKAIがギブアップし、武藤組が勝利を収めた。
──最後はトリプル4の字でした。
武藤「(先に一人で来て)まあ成り行きで。ただ、相手の3人は俺の弟子で羽ばたいていって。いろいろ言いたいことはあるけど、まあまあ成長が見れてよかったです。そして横にいる健斗? 俺が全日本プロレスを去って、初めて……初めてじゃねえか。まあ、見て、それも光栄に思ったし。なんつっても獣神サンダー・ライガー……(ライガーがやって来たのを見ると)ライガー来た。ライガー、これで見納めだ」
ライガー「ありがとう!」
武藤「いろいろ長い間ありがとう」
ライガー「こちらこそ。武藤選手が言うんだよ、リング上で。『長い間ありがとう』って。リングでお前、おじちゃんが泣いたらカッコ悪いだろう」
武藤「いや、マスク被ってるからわかんないっすよ(笑)」
ライガー「ハハハハ! ありがとう。まあ、本当に武藤選手とはムタvs鬼神ライガーがあったり、武藤選手の才能に嫉妬したこともあったし。でも、今日こうやってタッグを組んで、最後ですけど、有終の美を飾れて何もないね。レスラー冥利に尽きる。武藤敬司とタッグを組めた。レスラー冥利に尽きる。これはもう俺がどうとか言わなくても他のレスラーみんなが感じてること。(リング上からの宮原の声を聞きながら)宮原も叫んでるけど、ああいうふうになったけど、試合前は武藤選手と組むからってえらい緊張してたんだよ」
武藤「ちょっと俺らでも知らないタイプのレスラーだよな(笑)」
ライガー「知らないタイプ。武藤選手が『これどうすんですか?』って言うから、『わかんねえぜ、これ』って言ってて(笑)。とりあえず彼を押さえておこうと。あんまり走りすぎてもあれなんでつって」
武藤「ただ、俺は本当に今日はうれしくてね。弟子たちがいて、横にはライガーがいたりして、本当にこういう機会を与えてくれたデストロイヤーに感謝ですわ。ありがとうございます」
──ライガー選手も最後4の字固めだというのは感じ入ったところはあったんじゃないですか?
ライガー「そうですね。僕の足も短くてデストロイヤーに似ているところがあるんですよ。昔は使ってたんですけど。まあ、武藤選手、最後にシャイニングウィザードを返されたのはびっくりしましたけど、やっぱ凄いわ。そのまま4の字に持っていくんだもん。流れが凄い。こっちもついつい隣でやらされるし。やっぱりね、デストロイヤーさんに感謝ですね」
武藤「本当に感謝だ」
ライガー「本当に感謝だけど、武藤敬司に感謝だ」
武藤「いやいや。ライガー、ちょっとほとぼりが冷めたら『マスターズ』出ようよ。『マスターズ』は引退してもいいんだから」
ライガー「ほとぼりってなんだよ!(笑)。ほとぼりじゃねえよ。どさくさに紛れて『マスターズ』に上がってる? ないない。まあ、でも武藤選手、本当に長い間、ありがとうございました」
武藤「本当にありがとう」
※2人で抱擁を交わす。
──お疲れさまです。
宮原「2人は?」
──2人は……帰られました。
宮原「なんで?」
──「あとは宮原選手に任せた」と。
宮原「しょうがないですかね」
──最後は3人での4の字固め。
宮原「忘れました。まあ、デストロイヤーさん、僕はお会いしたことも試合を見たことも直接はありませんけど、ただプロレスの歴史は長いんであって、それを僕はリスペクトしていると言っているし、先輩方もリスペクトしているし。ただね、それをずっと言っててもしょうがないので。今日組んだ武藤さんとライガーさんというのはね、リスペクトはしてますけど、リングに立てば別ですからね」
──何かその中でいつも以上に自由に闘っていたように見えたんですけど。
宮原「いや、いつも通りですよ。見てないだけでしょ。勉強不足ですね。いつもあんな感じです」
──敵に対してはどうでしたか?
宮原「まあ、でも6人タッグということで時間も限られているし、それはファンの皆さまが試合を終えて声を上げれば何かが動くかもしれないし、何かが動かないかもしれない。それはもうプロレス界の中の人じゃなくて、外の人が動かす力だと思うんで。それは別に俺から言うことはないです」
──でも、何かさらに闘いの幅がドンドン広がっていくのかなと感じました。
宮原「それは今日に限らず、日々日々試合の中で今終えた試合が一番ベストだと思ってやっているんで。まあ、ただ武藤さんとライガーさんという入場曲でお金を取れるレスラーっていうのはそんなにいるもんじゃないから。それは僕が目指すところかなと思いますね」
──やっぱり意識は常にありましたか?
宮原「なんの?」
──パートナーの武藤さんだったりライガーさんだったり。
宮原「もちろんそれはまあ。日頃の生活で意識することはないですけどね。今日は組むっていうことで。でも、終えてみて思ったのは俺の時代が来てるなって」
──凄い歓声でしたもんね。
宮原「歓声っていうか、それはファンの人が出してくれていることなんで。リングの中の動きですよね。そう改めて感じることができた。自分がやっていることは間違いないなと思ってますけどね」
──SANADA選手との絡みがありましたけど、どんな手応えでしたか?
宮原「デビュー戦以来ぐらい、11年ぶり、12年ぶりぐらいに当たったんで。でも、多少触れたのみなんでね。まだまだどうなるのかはね。でも、デビューして11年経ってこうやって、こういう形で会うことも想像してなかったし、ということは何が起きるかわからないっていうのがこの世界だと思うので、絶対はないと思いますよ。何が起こるかわからないです」
──MVPを狙う宮原選手としては……。
宮原「(遮って)もう決まってますよ!」
──アピールできたと思いますか?
宮原「どうでしょう。それは見ている人が判断すれば。僕が決めることではないんで」
※SANADA、KAI、BUSHIはノーコメント。